(科目名) 実験計画法 (担当者名) 山本 渉 (授業の概要・到達目標) 実験計画法は、実験に基づいて最適化するための、実験の計画と実験結果の解析についての学問である。この学問は20世紀初頭のR. A. Fisherによる農業実験に始まり、農業だけでなく製品設計、化学製品、製造プロセスなど、多くの場面で活用されている。20世紀後半の田口玄一によるパラメータ設計と2段階最適化法も、代表的な手法のひとつとなった。 対象を設計、操業条件、実験条件などを入力すると、性能、製品、収率といった出力が得られるブラックボックスとして扱い、目的に則して、出力を最適にするように入力を定めることを実験に基づいて行う。そのための実験計画の立案、実験実施の際の幾つかの重要な指針、立案した実験計画に沿って実施された実験に基づいて得た実験データの解析方法、そして解析結果に基づく最適化の4つの要素から成る。 本講義では、製品設計や製造条件の改善や最適化を想定して、実験計画法を構成する4つの要素の中から、基本的な内容を説明する。そして目的と制約に応じて、適切に実験を計画・実施し、その結果の分析に基づいて改善や最適化を行う資質を身につけることを到達目標とする。 (授業内容) 第1回:実験計画法とは (2014.04.11) フィッシャーの3原則について説明し、因子、水準、効果、交互作用など基本用語を解説する。 第2回:一元配置 (2014.04.18) 因子が1つの問題を扱う。 第3回:一元配置(乱塊法) (2014.04.25) 乱塊法は、実施上の制約からブロック単位で実験を行う必要がある場合の実験計画である。 第4回:二元配置 (2014.05.02) 因子が2つの問題を扱う。 第5回:多元配置 (2014.05.09) 因子が3つ以上の問題を扱う。 第6回:2水準直交表1(主効果のみ) (2014.05.16) 実験の総回数を減らす工夫として代表的な2水準直交表についてその原理、使い方などを説明する。 第7回:2水準直交表2(交互作用あり) (2014.05.23) 実験の総回数を減らす工夫として代表的な2水準直交表について、交互作用のある問題のための使い方を説明する。 第8回:3水準直交表 (2014.05.30) 3水準直交表について説明する。 第9回:直交表のその他の話題 (2014.06.06) 多水準法、高次の交互作用の取り扱いなど、その他の話題を説明する。 第10回:分割実験 完全な無作為化が困難な場合の実験計画として、分割実験を説明する。 第11回:枝分かれ実験 因子を割り付けない分割実験としての枝分かれ実験を説明する。 第12回:パラメータ設計(静特性) パラメータ設計の中でも目標が一定の値となる静特性の最適化の考え方を説明する。 第13回:パラメータ設計(動特性) パラメータ設計の中でも目標が一定の値となる静特性の最適化の考え方を説明する。 第14回:応答曲面法 応答曲面法による最適化を説明する。 第15回:総まとめ (履修上の注意・準備学習の内容) 確率と統計に関する講義を受講しているのが望ましい。 (教科書) なし。メモは配布する予定。 (参考書) 「Experiments」 2nd Edition, C. F. J. Wu and M. S. Hamada, Wiley, 2009. 「実験計画法ー方法編ー」山田秀, 日科技連出版社, 2004. 「入門 タグチメソッド」立林和夫, 日科技連出版社, 2004. 「入門 実験計画法」永田靖, 日科技連出版社, 2000. 「実験計画法入門」鷲尾泰俊, 日本規格協会, 1997. 「すぐに役立つ実験の計画と解析<基礎編>」谷津進, 日本規格協会, 1991. (成績評価の方法) 2/3以上の講義に出席し、すべてのレポートを提出した者を成績評価の対象とする。 レポートの合計点が満点の60%以上となることを単位取得の条件とする。 (その他) 連絡先 メール 所属 電気通信大学 大学院 情報理工学研究科 総合情報学専攻