次の5行は、Pythonで書いたHello, World!です。
def main(): print("Hello, World!") if __name__ == "__main__": main()
Pythonがインストールされている環境で、これを hello.py という名前のテキストファイルに保存し、コンソールで、pythonを実行し、引数にそのファイル名を指定すると
$ python hello.py Hello World!
という実行結果を得ます。
Python言語で書かれたプログラムの実行には必ず、pythonというコマンドを介する必要があります。これはPython言語のインタプリタ(処理系)です。
Python言語は大きく4世代に分類できます。
バージョン2の開発中に様々な拡張が行われたようです。そしてHistory of PythonというWikipedia上の記事にもあるように、バージョン3の仕様は、バージョン2との後方互換性を捨てて定められました。これだけの変更が行われたため、Python 2を使い続けた人が多かったのも頷けます。Porting Python 2 Code to Python 3は、もはや移植に近い内容な気がします。
そのため、Python言語は2種類ある、と言えます。
バージョン2のために書かれた多くのライブラリやソースコードは、バージョン3では動きません。しかし、多くのユーザはバージョン2を使い続け、教科書や教育内容、また多くのモジュールやパッケージもバージョン2を支持し続けつつ、バージョン3の開発も進めてきました。開発リソースの分割が原因で、バージョン3への移行はかなり遅れたようにも思います。
データサイエンスや機械学習を目的にPythonを新たに学ぶ人は、2020年以降はPython 2を学ぶ必要はなく、Python 3を学ぶのが良さそうです。テキストもPython 3に対応したものだけを探して大丈夫です。手に取った本がどちらのバージョンに対応しているかは、Python 2と3とでprint文が異なるので、すぐにわかるはずです。
# Python 2のprint文 print "Hello, World!" # Python 3のprint文 print("Hello, World!")
そう、昔はprintは文で、関数ではなかったのです。
どんな言語も、言語の開発者が標準で提供する機能と、サードパーティが開発して提供する機能があります。 Pythonの場合は、次の三種類に分類されます。
提供方法 | 機能、モジュール、パッケージ |
Python本体に組み込んであるもの | 言語の文法、組み込み関数、組み込み定数、組み込み型、組み込み例外 |
Pythonと一緒にインストールされる標準ライブラリ | テキスト処理サービス、バイナリデータ処理、データ型、数値と数学モジュール、関数方プログラミング用モジュール、ファイルとディレクトリへのアクセス、データの永続化、データ圧縮とアーカイブ、ファイルフォーマット、暗号関連のサービス、汎用オペレーティングシステムサービス、並列実行、コンテキスト変数、ネットワーキングとプロセス間通信、インターネット上のデータの操作、構造化マークアップツール、インターネットプロトコルとサポート、マルチメディアサービス、国際化、プログラムのフレームワーク、Tkを用いたGUI、開発ツール、デバッグとプロファイル、ソフトウェアパッケージと配布、Pythonランタイムサービス、カスタムPythonインタプリタ、モジュールのインポート、Python言語サービス、各種サービス、MS Windows固有のサービス、Unix固有のサービス、取って代わられたモジュール群、ドキュメント化されていないモジュール |
ユーザが選んでインストールして使うもの | NumPy、pandas、SciPy、flask, Pillow, purest, requests, Beautiful Soup, Scraps, SymPy, scikit-learn、… |
Python本体に組み込んである機能以外はすべて、import文を用いて実行時に読み込むことを指定して、利用します。
真理値判定とブール演算
a, b = 1, 2 a > 0 # 変数aの中身は正値か (a > 0) and (b > 0) # 変数aおよびbの中身は共に正値か (a > 0) or (b > 0) # 変数aおよびbの中身の少なくとも一方は正値か (a > 0) or not (b < 0) # 変数aおよびbの中身の少なくとも一方は正値か
数値型
int a = 1 float b = 2.0
シーケンス型
list([1, 2, 3]) # リスト list((1, 2, 3)) # リスト [1, 2, 3] tuple([1, 2, 3]) # タプル tuple((1, 2, 3)) # タプル (1, 2, 3) range(3) # レンジ list(range(3)) # リスト tuple(range(3)) # タプル
テキストシーケンス型
str("abc") str('abc') "abc" 'abc'
集合型
set frozenset
マッピング型
dict
Python本体は、1次元の配列しか持ちません。しかし、配列を要素にもつ配列も定義できるので、
リスト、タプル、辞書の3種類の配列を持ちます。 リストは更新可能な配列です。 タプルは更新不可能な配列です。 辞書はPerlの連想配列と似ていますが、数値と文字列を区別するキーを持ちます。
if 条件: 実行文1
if 条件1: 実行文1 elif 条件2: 実行文2
if 条件: 実行文1 else: 実行文2
if 条件1: 実行文1 elif 条件2: 実行文2 else: 実行文3
for 変数 in 範囲: 実行文1
while 条件: 実行文1
抜けるのは break
リスト、タプル、辞書などから、新しいリストや辞書を作る Python 独自の記法
リストの内包表記
[式 for 変数 in イテレート可能なオブジェクト]
はif条件文も使える。
[式 for 変数 in イテレート可能なオブジェクト if 条件式]
ネストも可能。
[式 for 変数名1 in イテラブルオブジェクト1 for 変数名2 in イテラブルオブジェクト2 for 変数名3 in イテラブルオブジェクト3]
集合の内包表記
{値 for 変数 in イテレート可能なオブジェクト}
はif条件文は使えない。
辞書の内包表記
{キー:値 for 変数 in イテレート可能なオブジェクト}
はif条件文は使えない。
zipは、2次元配列がないPythonならではの機能で、長さの同じイテラブルを組み合わせることができる。
keys = ['k1', 'k2', 'k3'] values = [1, 2, 3] {k: v for k, v in zip(keys, values)}
enumerateも同様。
l_str1 = ['a', 'b', 'c'] l_str2 = ['x', 'y', 'z'] l_zip = [(s1, s2) for s1, s2 in zip(l_str1, l_str2)] print(l_zip) # [('a', 'x'), ('b', 'y'), ('c', 'z')] source: list_comprehension.py l_zip = [] for s1, s2 in zip(l_str1, l_str2): l_zip.append((s1, s2)) print(l_zip) # [('a', 'x'), ('b', 'y'), ('c', 'z')] source: list_comprehension.py enumerate()の例。 l_enu = [(i, s) for i, s in enumerate(l_str1)] print(l_enu) # [(0, 'a'), (1, 'b'), (2, 'c')]
例えば、正弦関数のグラフを描くという目的の遂行には、以下の知識の活用が必要となります。
これらの知識を活用すると、次の短いプログラムが書けます。
def main(): import numpy as np # NumPy を読み込む import matplotlib.pyplot as plt # Matplotlib を読み込む x = np.arange(-10, 10, 0.1) # x座標を-10 から 10 まで 0.1 きざみで取得 y = np.sin(x) # 正弦関数の式を記述 plt.plot(x, y) # x, y をプロット plt.show() # グラフを表示 if __name__ == "__main__": main()
このコードをファイルに保存して実行すると、次のグラフが画面に表示されます。
上のコードで読み込んだNumPyとMatplotlibは、とてもポピュラーなサードパーティライブラリです。Pythonでプログラムを書く際には、どんな機能がどのライブラリによって提供されているか、その利用のためには他にどのライブラリの機能を用いるか、の知識が欠かせません。でも慣れれば、ここまで整理しなくても自然に書けるので、煩雑に感じないでください。